北海道旭川商業高等学校吹奏楽部は、大正15年4月に音楽部としてハーモニカを中心として設立された。顧問は立教大学出身の吉本孝義先生であった。その後昭和3年6月に軍事教練用のラッパを手に入れ、ブラスバンドが正式に編成された。当時道内には旭商のような旧制の中等学校は30校ほどあったが、ブラスバンド関係のクラブは皆無であった。
昭和4年6月5日の第一回北海道護国神社慰霊音楽大行進に参加する。この慰霊大行進は、吹奏楽部顧問の吉本孝義氏、町井楽器店主の町井八郎氏、北海タイムス旭川支局長の竹内武夫氏らの尽力により実現されたものであるが、第1回の大行進には、旭商ブラスバンド、旭川師範学校ブラスバンド、鉄道ダイヤ音楽団、合同酒精音楽隊、旭川市民管弦楽協会、北都写真館音楽部、朝日小学校音楽部、第七師団ラッパ隊など僅か10チームに満たない参加であった。この大行進は戦後昭和24年から4年間中断し、昭和28年に復活し、現在名称は多少変更となったが、音楽大行進創設以来継続して参加している学校は旭商のみである。
現在高校の吹奏楽の大会でもっとも権威のあるのは、全日本吹奏楽連盟主催のコンクールで、これは昭和31年より開催されて来ているが、旭商はこの第1回大会で旭川地区、北海道大会で第1位となって、第4回全日本大会(大阪府立体育館開催、現在は吹奏楽の甲子園とも呼ばれている東京都の普門館)に出場し、その後も連続全国大会に出場した。その栄誉を称えられて、昭和38年11月には、旭川市の文化奨励賞を受賞している。昭和56年にも全国大会への出場を果たし、銀賞を獲得している。
近年では平成11年に出場し全国初金賞を受賞、平成19年にも全国大会に出場、また平成21年・22年・23年と3年連続全国出場の快挙を成し遂げ、平成22年には最高賞の金賞を獲得している。
一方平成元年より浜松市における全日本高校選抜吹奏楽大会が創設され、これにも多く出場し平成12年にはグランプリ(第1位)、平成13年にはマルタ賞を獲得している。平成18年4月第18回大会では出場高校16校の中で全国第3位に入賞した。また同年には高等学校文化連盟主催の第39回全道高校音楽発表大会で全道優勝し、平成19年の8月の京都において開催の全国大会に出場した。
近年は、単に演奏の技術を追求するだけでなく、音楽を通して人・仲間の存在価値を見出すことを心がけ、演奏の他にダンス・合唱・ハンドベル等も取り入れている。また他の学校や地域との交流も進め、各種イペントにも積極的に参加しており、昨年まで毎年2月頃に旭川市民文化会館で定期演奏会も開催し、毎公演超満員の盛況で、旭川市民から愛され高い評価を得ている。
外国との交流も積極的に進められ、平成11年・15年・17年・19年とこれまで4回カナダのノースバンクに遠征し、現地の高校や市民との交流を行った。平成20年4月に現地のサウザランド高校から28名の吹奏楽の生徒が来旭し、4月19日に大雪クリスタルホールで合同の演奏会を開催した。
尚、平成15年2月28日には第27回旭川ななかまど賞も受賞した。この賞での学校関係の受賞は本校がはじめてである。
平成21年2月に開催予定の第22回定期演奏会は、会場の旭川市民文化会館が、アスベスト問題で使用できなくなり、急速1月12日に札幌コンサートホールキタラで開催され、初の札幌公演となり、2002席の全席が完売となった。札幌在住の多数の同窓生も入場され、その華麗な後輩の演奏にほとんどの同窓は感涙でむせんだ。
ベートーベン第九番の「合唱」の演奏では、平成20年12月7日に「旭川第九の会」と共演が予定されていたが、同じくアスベスト問題で市民文化会館が使用できなくなった。しかしそれまでの生徒の練習に応え、平成21年3月5日に旭川東高校合唱部の賛助を得て開催された。高校生によるベートーベンの第九番の全曲演奏は、国内では2例目である。
更にここ3年間を見ると、平成21年3月末には選抜大会に北海道代表として出場し帰途には、東京ディズニーランドのステージにて演奏をしている。また8月には宮崎県での高文連全国大会に出場した平成22年12月24日には旭商出身の音楽家だけの演奏会を市内の大雪クリスタルホールで開催され13名の音楽家が華麗な演奏を発表した。道内高校でのこの種の企画は初めてとのことである。平成24年では2月4日・5日に旭川市民文化会館で市民対象の第25回定期演奏会の開催、3月には三重県で開催されたアンサンブルコンクール全国大会にクラリネット8重奏で出場、さらに浜松市での全日本高等学校選抜吹奏楽大会にも出場、5年ぶり5回目になるカナダヘの演奏旅行を行った。8月18日には旭商吹奏楽部OB・OG会設立記念演奏会や9月8日にも旭商同窓会札幌支部総会での演奏、また平成25年1月14日には札幌コンサートホールキタラでの演奏会の開催が内定している。
本年度の部員は約110名おり、これは在学生徒720名の約16%近い。現在顧問は、技術指導の佐藤淳教諭の他に大野英明教諭ら3名の教師が、佐藤先生の活動をサポートしている。
2012年6月 (調査●文責 旭商同窓会事務局 荻野慶博)